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『鹿島錦展』ギャラリートーク・レポート

『鹿島錦展』ギャラリートーク・レポート

 5月30日(日)エイブルホールで、「鹿島錦展」のギャラリートークを開催しました。演題は「鹿島錦の記録保存」。講師は佐賀大学 芸術地域デザイン学部 准教授、石井美恵さん。

 当日は芸術地域デザイン学部の学生や、佐賀錦関係者を含め56人の参加がありました。会場ではコロナ対策を行い、1席ずつ空けて着席いただきました。講演後、3階生活工房で鹿島錦の実演・体験会も行いました。

 講演では東日本大震災を例に挙げ「文化財は地域のよりどころであり、記録が無いと何があって、何を失ってしまったのかが分からない。非常時の備えとしての文化財記録の分散保存が必要」という最新の潮流を紹介されました。

 そして佐賀大学・鹿島市協働事業・共同研究である「鹿島アートプロジェクト」の一つとしての、鹿島錦の記録保存事業の概要を解説されました。

 鹿島錦の記録は、祐徳博物館、鹿島市教育委員会、鹿島市民図書館、佐賀大学図書館、佐賀県立図書館、東京文化財研究所無形文化遺産部に保存できたらというお話に、当財団の使命を再認識する良い機会となりました。

 研究内容の報告として、鹿島錦の誕生にかかわったとされる、鍋島篤子(篤誠院・柏岡、9代鍋島直彜夫人)の最新の研究成果や、現在の「鹿島錦保存会」などに至る伝承の歴史の解説がありました。

 最後に記録保存内容の一部として、樋口ヨシノさん(104歳)のインタビュー映像が流され、上映後樋口さんからもお話をしていただきました。

 ギャラリートーク終了後、3階生活工房で鹿島錦の実演・体験会を行い、多くの参加者が実際に織機に触れて制作を体験することができました。

 樋口さんをはじめ保存会の方とお話もはずみ、和気あいあいの体験会になりました。

アンケートから

◆鹿島錦がとても長い歴史があることがわかった。またその歴史の中で、鹿島錦が女性の教養促進や佐賀の発展とともにあることを知れた。今まで詳しくは知らなかったが、鹿島錦のある佐賀県にいることが誇らしいと思った。…(10代)

◆鹿島錦保存会に入会して2年半になります。鹿島で生まれ、鹿島で生活して、伝統あるものに触れて、幸せを日々感じ、織っています。歴史を知ることができて、とてもいい機会になりました。ありがとうございます。…(50代)

◆佐賀錦とどう違うのかと思っていましたが、今回のお話でその発生がよくわかりました。文化財は、一部の地域だけで保存しない方がよいこともよくわかりました。…(60代)