「やんべだー。」
この言葉との出会いは、山形県蔵王のお釜から、蔵王連山の主峰熊野岳(1,840m)への縦走の時でした。
天気予報では昼前から晴れ間が出るとなっていたので、朝8時から視界5mくらいの中、道標の柱を頼りに前進。他に登っている人もなく少し不安がつきまとう。
そんな中、進んでいくと、前方に黒い人影が浮かんできて、近づくと大きな姥神(うばがみ)様が祀ってありました。
視界不明瞭の中、突然に表れた山姥(ヤマンバ)の石像には、びっくり仰天!
しかし、天気は晴れてはくれず、仕方なしに熊野岳で昼飯を食べ、淹れたてのコーヒを飲むことに。
すると風が出て、今までの雲を一気に吹き飛ばしてくれました。
蔵王連山の雄大な山々や登ってきた道が鮮やかに見え「すごーい。」と叫んでいると、今まで気づかなかった近くの地元の登山者が「やんべだー」「やんべだー」と次々に連呼。
そこで、この「やんべだー」が不思議で、意味を尋ねてみると「お昼ご飯の頃に丁度いい塩梅(あんばい)に晴れてくれたから、いい塩梅だ、それが訛って『やんべだー』と言うのです。」と教えていただいた。
自分も「やんべだー」の言葉の響きを確かめ、地元の人と顔を見合わせにっこり。「ああ、やんべだー、やんべだー」と何度も繰り返し、山形の地元の生活言葉に触れ、山旅の良さを味わいました。