五月蠅と書いて「うるさい」まさに素晴らしい当て字だ。
五月蠅
この字を当てて、「ウルサイ」と読ませるのには、大賛成である。蠅にとっては大迷惑かもしれないが・・・。
いよいよ、このハエが所かまわず、飛び回る季節になってきた。
平気で人の顔にも止まる。それも濡れたものの上に止まっていた足で人様の顔に、無礼にも止まる。
とにかく活動が盛んになる五月のころの蠅は数も多くなり、動きも活発で、うるさいことこの上ない。まさに五月蠅のだ。
昭和五〇年代のある学校に勤めていたころ、蠅があまりに多いので、夏でも窓を閉めて給食を食べていた思い出がある。
しかし、教員にとっては、給食時間は、稼ぎ時。宿題やテストの採点、作文、漢字帳点検と蠅のことなど考える暇はない。窓を閉めては、汗でプリントが腕にくっつくので、ずっと閉めるわけにもいかない。
子どもたちの中には、何回かは追い払うが、蠅が食器に付こうがパンに付こうが、食べるほうが先になっていた。速く食べてしまって、遊びたい一心だったのだろう。
古くは「五月蠅」と書いて「サバエ」と読んだ。「さばえなすさわぐ舎人(トネリ)」(万葉集)とあるように「騒ぐ」のまくらことばとして使われていた。
まさに五月の蠅は古くからウルサイ騒がしいの代表だったようだ
エイブルの木5月号「エイブルからこんにちは」
館長 永池 守