日本人は、言葉には魂が宿るという考えがあり、美しい日本語を豊かに使いこなしたいですね。
「言」と「事」とは同源だそうです。「言」は言葉。「事」は行為や現象。昔は、「言」として表現することで、「事」が実現すると信じていたそうです。
そして、「葉」は「端」とする説もありますが、草木の葉にたとえたものだとする説もあります。
心は、草木でいえば根っこに当たるでしょうか。心の中で思っているだけでは、どうにもなりません。言葉に出して、人とつながり、自分の心を磨かなければなりません。
『相田みつを』の詩の中には心 を根っこに例えているものがいくつかあります。
『花を支える枝、枝を支える幹、幹を支える根、根は見えねんだなあ』/『根さえしっかりしていれば、枝葉はどんなに揺れたっていいじゃないか。風に任せておけばいい』/『その根っこは見えない、その見えないところに大事な点がある』、詩の中の言葉、心に響きますね。
春に、草木が芽をだし、葉を茂らせることによって花を咲かせ、実を結ぶように、人は言葉によって思いを伝え、人とつながり、自分を表現しながら夢を実現していきます。
四月、新しいとき、せっかく豊かな言の葉を持った日本人に生まれたのですから、どうか、一人ひとりが、その立ち位置で、その場に相応しい素敵な言の葉を広げ、豊かな草木に育って行かれることを願っています。
エイブルの木4月号「エイブルからこんにちは」より
館長 永池 守