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シデロクソ(11月号)

シデロクソ

以前書いた鹿島の方言で「ヨシレンナカ」を書いたら、読んでくださった方から、「館長さんは、シデロクソと言う言葉は知っとんさっやろか」ということでした。

そのことを聞いて、久しぶりだなあと昔を懐かしく思い出しました。

子どものころ、我が家の年寄り婆ちゃん(その頃は我が家には二人の婆ちゃんがいました。年寄り婆ちゃんと、いつも田んなかにいた田んなか婆ちゃんです。)からよく言われていた言葉でした。

丁寧にしなくてはいけない海苔簾(ミス)から乾燥した海苔を一枚一枚はがすときの手作業を、兄弟で競争していた時によく言われました。競争することが面白く、そして早く終わらせ遊びたい気持ちとで作業が雑になって、海苔が破れてしまうことがあったのです。

そんな時はいつも、年寄り婆ちゃんから「シデロクソすんないば、海苔のもったいなかろうが。ちゃんとせんば。」と叱られていました。

腰が曲がった年寄り婆ちゃんは、我が家の食事の世話や我等ひ孫の世話を一手に引き受けていて、時々、観音講の引き物のお菓子をくれたり饅頭を蒸かしてくれたりと優しくしてくれていました。

因みに「ろくそっぽう(ろくすっぽう)」(満足な状態でない)に由来し、シデは、意味がないことを強める言い方かも(私の想像)。似たような鹿島の言葉に「ウーシカツ。」と言う言葉もありますネ!

                     エイブルの木11月号より