母の日
五月第二日曜日は「母の日」―お母さんの日で、日ごろ母親に苦労をかけている子どもたちが、母に孝行をし、感謝をする日。
特に定番の贈り物となっているのが、カーネーションの花束。
由来は、1907年アメリカのアンナ・ジャービスが、母の祭壇に白いカーネーションの花を飾り、それが母の日のシンボルになったということからきているようです。
さて、「おかあさん」という言葉は、今でこそすっかり定着した親しい言葉になっていますが、この言葉ができたのは案外新しく、明治三十年ごろのことです。
文部省で作られた小学校国語の教科書ではじめてお目見えした言葉でした。
当時、士族階級ではオカカサマといい、町人階級はオッカサンと言っていました。このちょうど中間をとってできたのが「おかあさん」だったようです。
「オカカサマ」「オッカサン」は共に「おかたさま」から出た言葉。「おかた」は元来、上流の家庭で、主婦や女主人を「北の方」と言い、その「方」に「お」をつけたものです。
我が家の九十六歳の父は、「オカヤン」と言っています。私自身は、母に向かて「お母さん」とは一度も言ったことがなく「母ちゃん」一筋。
贈物も殆どしたことがなく、母の小言に「あー、やぐらしか。」と悪態をついてばかり、申し訳なかったと反省しきりです。
エイブルの木5月号より 永池 守