正念場~本当の自分を演じるとき~ それぞれの正念場、本当の自分を演じる時と思い、一番自分らしく堂々と、この一年を乗り切ってください
正念場(しょうねんば)
~本当の自分を演じるとき~
歌舞伎や浄瑠璃では、役の性格や心の持ち方のことを「性根(しょうね)」といいます。そして、性根の深いところまで汲み取って、じっくり表現する場所が「性根場」。
一番の重要な見せ場です。それに、仏教用語の「正念」が結びついてできたのが「正念場」だといわれています。
仏教用語の「正念」は、雑念を払い、真理を求める心をいつまでも忘れないことで、平常心と置き換えられることもあります。
誰でも、ここが正念場と思えば、何が何でもがんばろうとします。でも、本来の意味からすれば、無理して、踏ん張るところではなく、つまり、役者ならその役になりきる。自分なら、本来の自分になりきればいいのです。
いつもと違うように頑張ってしまうことは正念場にはふさわしくないのかもしれません。
しかし、わが身を振り返ると、大勢の人まえや何か事が起きた時には、上手くやろうと頑張り過ぎて、平常心ではいられません。心臓の鼓動が高鳴り、無駄に力んだり、緊張したりしてしまい、大失敗したことが山ほどあります。その度に、もっとしっかり落ち着いておけばよかったと反省しきりです。
それぞれの正念場、本当の自分を演じる時と思い、一番自分らしく堂々と、この一年を乗り切ってくださいね。
エイブルの木 1月号「エイブルからこんにちは」より
館長 永池 守