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館長コラム

鏡開き

日本人は、昔から言葉には魂が宿ると考えてきました。言葉遣いは心遣いという言い方もあります。心と言葉は密接につながっているのですね。また、忌み言葉というものもあります。鏡開きも鏡割り、鏡切りの「割る」「切る」は縁起が悪いから「開く」といったのでしょう。

鏡開き ~言霊の力~

我が家では、年の暮になると正月の餅の準備で、ばたばたとします。今では、餅つき機械を使って五キロの餅をつきます。準備から片づけまで約三時間で済みます。その餅をつく日付は、決まっています。十二月二九日です。

二九を(ふく)と読ませて、福の餅というわけです。

しかし、中には二九日は、九が入り、それは九が「苦」につながり、苦の餅はつかないというところもあります。

そして、鏡開きの鏡とは、もちろん鏡餅のことです。丸い形のお餅を鏡に見立てて、神様にお供えします。

餅は、望月(満月)にも通じ、家庭円満の象徴です。

普通なら、鏡切りとか、鏡割りと言いそうなものですが、「切る」とか「割る」とうのは縁起が悪いということで「開く」という言葉が使われるようになりました。

いわゆる忌み言葉ですね。結婚式でも、別れる、切れる、終わるは、神経質なまでに避けたものです。

言葉には、言霊が宿っていると信じられているのですね。

確かに、「鏡切り」や「鏡割り」を「鏡開き」と置き換えただけで、ぱっと明るい光がさすような、そんな気がしませんか。

まさに新年に相応しい言葉と習わしですね。

                   エイブルの木1月号「エイブルからこんにちは」より

                                    館長 永池 守

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