子どもの言葉は、互いの気づきの中で豊かに伸びやかに育っていきます。
毎月一回行われる幼稚園のお誕生会。保護者は、我が子の晴れ姿、成長の証として一目見ようと参加してくださいます。
さて、誕生会のメイン行事、一人一人へのインタビュー、一番注目される場面です。
おうちでインタビューを何度も練習、でも何度聞いても「仮面ライダーゴーストになりたい。」と答えるA君。でもママは、もう年長組なので「えーっ、なんでゴースト」とちょっと不満そう。
きっと、サッカー選手とか野球選手と答えてほしかったようです。ゴーストじゃ、現実離れしていると思ってしまったのでしょう。
そこでいよいよ本番のインタビュー、A君の番です。すると、いつも元気なA君、自信なく小さな声で「ゴースト」とつぶやきます。
そこで、先生はA君に近寄って行って一緒になって「ゴースト」とはっきり、みんなに伝えます。それを聞いたみんなは、「ゴーストだね。Aちゃん好きなんだよね。いいねー。」と答えてくれます。A君はニコニコ笑顔です。
そしてママは、うちに帰ってからA君に尋ねます。「どうして元気がでなかったの」と。すると「へんだよって言ったから」とつぶやきます。そのことからママは気づきます。自分が原因だったと。
先生や友達はみんなA君のことを知っていて受け入れてくれているのに、自分だけが受け入れていなかったと気付いたのです。
こんな気づきの中で、子どもの言葉は、幼稚園の先生、友達、おうちの人の中で豊かに伸びやかに育っていきます。 (幼小連絡会の記憶より)
エイブルの木11月号「エイブルからこんにちは」より
館長 永池 守