野鳥の目白が押し合いへし合いして枝を渡るところから生まれた言葉
目白押し
鶯とイメージが重なる目白ですが、その名のとおり、目の周りが白く鶯色のかわいい鳥で、胸には金筋があり、とても綺麗です。鳴き声も、鶯に劣らずいい声です。
その鳴き声は、一だん声(チュリー)のものもいれば、中には二だん声(チュリチー)のものもいます。
そして、木々の枝に止まり頭を左右に振りながらシバ鳴き(チュリ、チュリ、チュリ・・・)もします。そして私が一番好きなのが高音(たかね)張りです。高い声をずっと張り上げて鳴きとおすのです。以前は、この鳴き方を競う大会があっていました。
(今は獲るのも飼うのも禁止です。)
私が子供の頃は、この時期、目白取りに夢中。目白を捕まえるのには、トリモチ(粘着性の強いガムのような接着剤)を小枝に水や唾液を付けた指で薄く他の枝と見分けがつかないように巻つけます。その枝の傍に、ミカンを刺しておき、餌にしておびき寄せます。目白がそのミカンを啄もうと枝に止まったら、もう最後、逃げられず、くっついたまま羽をバタバタさせながら、ついには足が枝から離れず、ぶら下がった状態で捕獲完了です。
そして、そんな目白の巣立ったばかりのころは、何羽もが体をくっつけて押し合うように止まっています。そして次々と動くときは、押し合うようにして移動します。それは、小さくてかわいいものです。そんな様子から「目白押し」という言葉が生まれました。
人が大勢押しかけるときに使いますが、この語源を知っていただくと混雑の騒々しい雰囲気も少しは和らぐかもしれませんね。
エイブルの木3月号「エイブルからこんにちは」より
館長 永池 守