ご来光とご来迎(らいごう)
夏山に登ってきました。夜を通して山を登り、やっとたどり着いた頂上で「ご来光」を拝するのは、登山者のもっとも感動的な瞬間です。
久住山人気で大混雑の牧ノ戸峠駐車場で仮眠をとり、午前二時に出発。暗闇の中、ヘッドライトを付け、沓掛山を過ぎ、さらに登って扇ヶ鼻分岐で一休み。そして久住分かれから一気に久住山(1786.5m)へ。五時前には東の空が薄っすら白んできます。
三時間余りで久住山の頂上に着き、東の空を眺めると九重連山の暁の薄暗い雲海の上に、薄いオレンジ色の光の帯が広がり、中央にぽっつりと太陽がお出ましになります。まさに地球の息吹を感じる瞬間です。山頂で太陽が昇るのを迎える意味で使われているのが「ご来光」です。
「ご来迎」は、「お迎えが来た」というように、死を予感した時、阿弥陀三尊が五色の雲に乗り、お迎えに来ることをいう言葉です。
それがなぜ登山者の言葉に変わったのかと言うと、高い山頂で、はるか遠くを望んでいると前方の霧に自分の影が大きく映り、後光がさして神秘的な人影となって見えることがあり、この現象を昔の人は仏の姿を幻影として見たのだと錯覚して「ご来迎」と言ったのが始まりだそうです。
ご来迎が本当の「お迎え」になって、あの世に行ってしまわないように、山は、安全第一で登らなくてはいけません。特に下りは用心用心!
エイブルの木8月号館長コラムより