難しい漢字の「酴釄醁(とびろく)」は、古い中国の濁り酒のこと。どぶろくの由来。
酴釄醁(とびろく)
この漢字、なかなか普段お目にかかりません。読み方や意味を聞かれても、「さあ~」と答えるしかありません。
そこで、いつもの辞書で調べてみると、「酴」は、「さけのもと」「麹(こうじ)」、そして、「釄」は「漉して絞ること」また「強い酒」と記されています。「醁」という漢字が使われているのは、それ自体が濁った色をしていることを表しているためとありました。どぶろくの語源だとか。
この酒に関する言葉は、中国の唐時代に出てきているようで、日本では古事記に、酒造りの神として「酒解神(さけときのかみ)」と「酒解子神(さけときのこのかみ)」の名前が出ているようです。
昔の酒は、今の清酒のように透明なものではなく、どろどろになるように原料を混ぜて分解させたものであったようです。
この漢字の字面を見るだけでも、画数も多く、なにかごちゃごちゃした感じもして濁った感じがしますね。まさに濁り酒!
万葉集では大伴旅人の歌であろうといわれる「しるしなき/物を思はずは/一坏の/濁れる酒を/飲むべくあるらし」があります。
意味は、「まあ、いろいろ考えないで、濁酒を一杯飲んだらいいらしいよ」という具合ですかね。
さあ古代に想いを廻らせ一杯一杯、また一杯、晦日の夜に杯を傾けてはいかがでしょう。幸いに鹿島は酒どころ、発酵文化の薫る町。
エイブルの木12月号「エイブルからこんにちは」
エイブル館長 永池 守