鹿島市の琴路神社の夏祭り「一番通夜」が学校の夏休み最後の夜に行われている。子どもにとっては楽しくもあり、明日は学校という現実感で・・・。
一番通夜(とおや)と夏休み
毎年八月三十一日、琴路神社で行われる夏祭り。
台風除けと豊作を祈願して、立春から二百十日の前夜に行われる。これを「一番通夜」と呼び、以降二百二十日を「二番通夜」、二百三十日を「三番通夜」として合計三回繰り返される。
地域の人々が順番に琴路神社に集まり、それぞれの地区に伝わる笛や太鼓・鉦などの浮立が披露される。浮立が夜を通して奉納されることから通夜と名がついた。
毎年八月の夜には、浮立の音が遠くから響いてきて、練習にいよいよ熱が入ってきたなと感じる。
子どもの頃の通夜は、夜でも遊べ、人も賑わい、提灯もちの小銭で露店での「くじ引き」など楽しいことがいっぱいあった。
よく覚えているのが「スルメとり」、スマートボールみたいなビー玉をバネで弾いて穴に入れると竹串のスルメが一本とか二本とか、一番多く取れる穴は一〇本がもらえた。
ある時、偶然にも五本がもらえる穴にビー玉が入った。「やったーおんちゃん!五本当たったー」と大声を上げ、自慢げにたいらげた。五本分のスルメのタレで、口の周りは真っ黒け。
でも一番通夜の帰り道は祭りの後の寂しさと明日からは学校という現実感でいつも気は重かった。
エイブルの木8月号「エイブルからこんにちは」
館長 永池 守