マンスリーエイブル

一般財団法人 鹿島市民立生涯学習・文化振興財団
常務理事(エイブル館長) 永池 守
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夏の思い出、心太!

 「心太」と書くと、男の子の名前に付けてもよさそうですね。
 しかし、これは「ところてん」。
 夏の始め、子どもの頃に、近くの路地の角にあった駄菓子屋さんで、冷たい水に浸してある心太を、ガラスの皿に突いて出してもらって、少し甘い胡麻酢醤油をかけ、一気にチュルチュルとすすって食べた記憶があります。
 あまり急いですすって、心太の胡麻酢醤油が気管に入ってしまい、苦しかった思い出があります。顔が真っ赤になるくらいに咳き込んで苦しく、息を吸い込みきれないほどでした。
 懐かしい思い出です。
 さて、「心太」と書いて、どうして「ところてん」と読むのでしょう。
 室町時代の書物には、「心太」と書いて「こころぶと」と仮名が振ってあるようです。そして「こころぶと」「こころてん」とも呼ばれ、最終的には江戸時代半ばには「ところてん」という読み方におさまったようです。
 海藻のテングサを煮て、四角い形に流して冷やして固めたものが「トコロテンのモト」。この太い芯を突いて皿に出したのが「心太(ところてん)。」
 だから「心太」は、本来は「芯太」と書くのが正しいのかもしれません。
 「心太」は、室町時代から存在していた驚きのミネラル豊富な伝統食品なのですね。



平成28年 5月16日 「エイブルの木」6月号コラム

一般財団法人 鹿島市民立生涯学習・文化振興財団
常務理事(エイブル館長) 永池 守
☎0954-63-2138

八十八夜

 文部省唱歌『茶つみ』の歌詞に「夏も近づく八十八夜/野にも山にも若葉が茂る/あれに見えるは茶摘じゃないか/あかねだすきに菅(すげ)の笠」とあります。立春から数えて八十八日目、五月二日のころにあたります。
 この頃になると香りがよく色鮮やかな新茶が待たれます。
 お茶を飲むという習慣は、江戸時代になって庶民の生活が安定して、時間ができ、楽しいひと時を過ごせるようになってから始まったと言われています。
 その楽しい時間に交わされる言葉は、たわいもない冗談や、笑い話やうわさ話。
 そんな楽しいひと時からこんな言葉が生まれました。
 無邪気にふざけることを「茶目っ気」、冗談ぽくすることを「茶化す」、失言を冗談にしてしまうことを「茶にする」など、お茶にまつわる、いろいろな言葉が生まれました。
 さて、私たちは、便利さの中で時間を手に入れましたが、果たして豊かさや楽しさは増えたのでしょうか。お茶を飲むのもペットボトル、食事もコンビニ弁当かファストフードと簡単に済ませるようになって、忙しく、追われるように生活しています。
 昔に戻ることはできませんが、一日のうちのどこかでは、お茶を楽しむゆとりの時間を持ちたいものです。


平成28年 4月16日 「エイブルの木」5月号コラム

一般財団法人 鹿島市民立生涯学習・文化振興財団
常務理事(エイブル館長) 永池 守
☎0954-63-2138